職人と呼ばれるすべての悩める人に見てもらいたいドキュメンタリー映画です。
–—「美術館の人に言われた。『ゴッホの複製画を20年も?素晴らしい!あなた自身の作品はないのか?』その時俺は焦った。1つも自分の作品がない」
—-「結局俺たちは職人だ。職人が画家や芸術家になるのは絶対的に難しいと思うんだが・・・。」『画家 絵描き 職人 どれも単なる呼び方じゃないか!重要なのは自分の認識だ!大切なのは自分の想い!心の内をいかに表現して人々に伝えるかだ!』
【ストーリー】
中国の田舎から出てきて大都会大芬で複製画の職人として、20年間にわたり何万枚ものゴッホを描き続けてきたシャオヨンは本物のゴッホの作品を見たことはありませんでした。
寝るのも工房、食べるのも工房、家族も工房で生活しているような、まさに生活のすべてが複製画制作である複製画職人たち。
そんな底辺で生きる彼らを支えるのは本場オランダの画廊から認められて発注が来ているという、職人としてのプライド。
ある日シャオヨンはその画廊からの誘いでオランダにいき、本物のゴッホ作品を見ることを決意します。
金銭的理由からの家族の反対を押し切ってオランダに来たシャオヨンは、お客さんは画廊ではなく単なる土産物屋で、自分の描いたものはそこで売られていたことにショックを受けます。
しかしオランダで本物のゴッホ作品を見、ゴッホの入院した精神病院を訪れ、ゴッホの墓参りをしたシャオヨンは底辺で生き苦しみながら芸術を追い求めたゴッホと自分が一つになれた気がします。
大芬に戻ったシャオヨンは自分自身の作品を作ることを決意し、自分の人生を表現し始めました。
【職人か芸術家か】
映画館で「世界で1番ゴッホを描いた男」を見ました。
次の日も朝から仕事なのに、19時からのレイトショーを見に、高速道路を往復2時間以上もかけて見に行きました(笑)
映画の料金よりも高速料金のほうがはるかに高かったけど見てよかったと思える映画でした。
(あまりにこころに響いたので次の日も高速代を使ってレイトショーを見に行きました、その次の日も朝から仕事だったけど。)
—絵を描いているとはいえ、生活のためのお金を稼ぐために、できるだけたくさん、同じ絵ばかり描いている画工たち。
—職人としてのプライドはあっても作品としてではなく製品として絵を描き続けなければいけない人々。
—学歴や知識がないから職人しかできないと思っている人たち。
国は違ってもとにかく職人として悩み、共感できることが満載のドキュメンタリー映画でした。
またドキュメンタリー映画だということを忘れるくらいによく構成された映画で、監督のユイ・ハイボーさん、キキ・ティンチー・ユイさん親子がこの人たちの日常を6年間にわたりいかに愛情豊かに鋭い感性で見ていたかがよくわかります。
職人と呼ばれるすべての悩める人にぜひおすすめです。