毎日知らないうちに目にしているであろう部屋の壁紙ですが、いったいどのように作られているのかご存じですか?
去る2020年11月9日、リョーゾー社長はクロス職人の全国ネットワークHangersのメンバーと一緒に京都の壁紙工場見学に行ってきました。
当初リョーゾー社長は「織物壁紙の生産工場を見ることで実際に現場で使うときに役立つ知識が付けばいいかな」程度の気持ちで参加しましたが、実際には「壁紙業界の過去、現在、そして未来」「内装を取り巻く問題点」などたくさんの気づきがありましたので、数回に分けてレポートしてみたいと思います。
●まずは日本の壁紙事情をざっくりと
皆さんがよく目にする壁紙表面のパターンというのはいったいどこから来たのでしょうか?
今では市場の91.6%は塩ビ樹脂系壁紙、7.4%がプラスティック系壁紙で、合わせて全体の99%がビニール壁紙です。(日本壁装協会、統計データ2020年上半期国産壁紙生産出荷推移表から)
日本の場合はビニール壁紙というのはそもそもふすま紙を基にしてできた織物壁紙を模倣して作られました。
たぶん皆さんがアパートやマンションの壁などで頻繁に目にしたことがあると思う「織物調」のビニルクロスはまさにこれです。
したがって商品規格もふすまと近い日本独自の92cm幅程度のものが多いですが、世界的にはDIYでも施工しやすい52cm程度の幅のものが多いです。
(私の若いころにはまだ、元ふすまの職人という人が現場に出てビニールクロスを張っていました。)
1960年代から普及したビニール壁紙というのは織物であるふすま紙に比べて色や模様を簡単に模倣して大量生産することができるので、洋風の織物や流行りのファブリックデザインなどがどんどん取り込まれて行って爆発的に普及していき、商品点数が増えていきました。
●織物壁紙が高価な理由
しかし今回見学させていただいたエリモ工業株式会社さんと小嶋織物株式会社さんはビニール壁紙ではなく織物壁紙や織物ふすま紙専門の生産工場です。
ちなみに現在壁紙メーカーのように思われている大手のインテリア商社サンゲツ社、シンコール社、リリカラ社、東リ社などはブランドメーカーであり、自社では壁紙生産をしておらず今回見学に行ったような下請けの工場が生産をしています。
織物壁紙は糸を作ることから始まり、膨大な量のたて糸を機械にセットしスプールに巻き付ける工程、それによこ糸を通して織物にする工程、ロールの裏打ち紙と接着する工程など最低13工程はかかるそうで、手作業でないとできない部分もたくさんあります。
天然素材も扱いますので品質管理も手間がかかり、廃棄ロスも出ます。
しかしこの品質管理はまさに職人技で、感動するほど細部までこだわりぬいています。
クロス職人の皆さんも一度考えてみてください。
注文すれば当たり前のように織物のクロスが届くと考えがちですが、厚みも違う、素材も違う、特性もそれぞれ違う綿やレーヨンやシルクや紙などの素材の織物がよれたりしわになったり、シミになったり、ゆがんだりせずにまっすぐに裏打ち紙と接着し、ロールされて製品化することがどれほど難しいか。
そしてその中にたくさんの手仕事が含まれていることも。
一方ビニール壁紙の生産は、ざっくりいうとロールの紙に印刷してエンボス加工で凸凹をつけるだけで(コーティングなどする場合もありますが)最短4~5工程で出来上がります。(壁紙工業会の資料による)
当然織物壁紙とビニール壁紙を比較したらコストは高く、品質もばらつきが出てしまいます。
歴史ある織物壁紙はビニール壁紙の普及によって生産数量が減っていき、それに伴って倒産、廃業が続き現在は一部の生産工場が残るだけとなっています。
一方職人のほうでもまずビニール壁紙を張れるようになるまでは4~5年とかかり、織物壁紙のように素材によってコツが違うものを扱えるようになるまではさらに経験が必要です。
いかがでしょうか?
あなたはこのような織物壁紙を「無駄に高いもの」と考えますか?
それとも「本物はやっぱり高い理由があるのだ」と考えますか?
日本での評価はおおむね前者が多いようですが、欧米での評価はこの伝統的な手作業でのモノづくりに高い評価がつけられているようですが、そのあたりはまた次回に紹介します。
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