七福神と言えばお正月などに飾られたりする福の神ですが、多度津町には「多度津七福神」と呼ばれる7人の富豪たちがいたことをご存じですか?
今回はその多度津七福神の一人であり唯一現存している合田房太郎の邸宅「合田邸」を紹介したいと思います。
(この合田邸は重要文化財ではなく有形文化財なので重文見聞録 番外編としています)
このブログを書いた人:リョーゾー社長
●内装工事職人歴20年、一級壁装技能士、ライティングコーディネーター資格者、3Dマイホームデザイナー操作技能者
●ボランティアによって修復公開
合田房太郎(1861~1937)は米穀肥料商を営み、のちに県内初の私立銀行・多度津銀行の取締役、四国電力の前身・四国水力電気社長などを歴任して四国の近代化に大きく貢献した方だそうです。(多度津町観光協会ホームページより抜粋)
実はこの合田邸は他の富豪の家と同じく荒れ果ててしまっており、取り壊しを待つのみという状態だったそうですが、合田邸内部を見た泉川昌弘さんがその見事さに「これは残さなくてはいけない!」と直感して合田邸ファンクラブをつくってボランティアにより清掃、草刈、大木の伐採を行っていき、現在のような状態にまでもっていけたそうです。
今回もその泉川さんが直々に邸内を案内してくれながらその苦労話も聞かせてもらいました。本当にありがたいことです。
【2代目によって建てられた離れ】
●電気、設備のからくり
合田邸には特長的な点がいくつもありました。そのいくつかを紹介したいと思います。
上の写真はその財力を見せつけるような大広間 「楽々荘」で、30畳もあり縁側も合わせると50畳もある大きさです。
天井からは合田家の家紋入りのシャンデリアが下がっています。
奥に進むとトイレがありますが、その前に何とも美しい手水鉢があります。
水が湧き出るようになっています。
水が湧き出ると言えば中庭にある鉢も中に水をためると・・・
離れた場所から噴水が出るようになっていたようです。
また上のトイレ前にもありましたがこの吊り下げ型の照明は配線がないように見えます。キャンドルライトかなと思いきや・・・
なんとこの金具の中を配線が通っているそうです。なんというこだわり。
●木、石、タイルの細工
合田邸の中では他にもこだわりの細工がありました。
上の写真は「えじぷとの間」と呼ばれる離れの2階です。
離れ2階の廊下天井も緻密な細工です。もともとあった天井照明は持ち去られてしまったようです。
同じく離れの廊下の床、障子、ガラス戸も木の細工が細かいです。
「えじぷとの間」の天井にも細工が施されています。
また趣のある食堂のテーブルの天板は
来客時には取り外してアップグレードできるようになっていました。
洋館の入口には楽し気なタイル張り。
同じく洋館にあるお風呂のタイルもひと手間かかってそうです。
浴室にガスヒーターがあるのも富豪ならでは。
来客用の入口ドアは作り直していますが、門柱はオリジナルのまま。
カラフルに凝灰岩、御影石など組み合わせて作っていますが、シンメトリーになるように配置されています。
●インテリアも充実 、壁紙も発見!
合田邸は大正~昭和3年にかけて建築されたものなので、いまに通じるインテリアの原型が残っていました。
邸内には当時のままの肘掛け椅子がところどころにありました。
離れ2階廊下のカーテンレールはシングルレールですが大変長く、廊下の端までつながっていました。
上の部屋は昭和3年に建てられた洋館内にある和室で、当時のものと思われる装飾カーテンレールが見えます。
こちらは洋館の広間ですが、まだ公開できるほどにはなっていません。
しかし中を見せてくれました。
そこでなんと、壁紙を発見!きっと90年前に張られた壁紙だと思います!(2019.3.31現在)
マントルピースの上で壁紙がはがれていますが、これによって受け張りの技法がはっきり見て取れます。
同じく窓にはブラインドがついています。
こちらはどのくらい古いかはわかりませんが。
合田邸いかがだったでしょうか?
合田邸は有志によって運良く守られた建物です。
本当に合田邸ファンクラブの方々には感謝です。
皆さんもぜひ一度足を運んでみてくださいね。
↓内装のご相談はこちら
↓せめて「いいね!」お願いします。
プロファイル:
小山良造 1976年2月17日生まれ
●芸術的職人集団、㈱R.Life代表取締役。
●壁紙の職人として起業したのち内装全般を彩る職人として活躍中。
●日々の活動やホテルの内装、重要文化財の建築を見て回ったり、海外の展示会に足を運んだりしたインテリアブログも好評。
●ちょっとした国際通。
●アウトドアスポーツが趣味。
0120-6969-33